最初に決める:AIに任せるのは文章化、事実は自分が持つ
AIに向く作業は、材料の並べ替え、文章の骨格づくり、重複の削減、文字数調整、複数の言い回し案の提示などです。一方、実際に何をしたか、数字が正しいか、企業の制度や事業が現在も正しいかは、本人や一次情報で確認する必要があります。
特にESでは、生成された文章が自然でも、本人が経験していない工夫や数字が補われると問題になります。「説得力を高めるために数字を入れて」と指示する場合も、存在しない数字を作らせるのではなく、手元にある数値だけを使う条件を付けます。
ステップ1:設問をそのまま切り出す
まず企業の設問を省略せず確認します。「学生時代に力を入れたこと」と「あなたの強みを教えてください」では、同じエピソードを使えても焦点が違います。前者は経験の中で何を考え、どう動いたかが中心で、後者はその行動からどんな強みが再現されるかが中心です。
ステップ2:文章ではなく事実メモを作る
AIへ渡す前に、次の項目を箇条書きにします。
- いつ・どこで・どんな活動だったか
- 自分の役割は何だったか
- どんな課題・制約があったか
- なぜその課題に取り組んだか
- 自分が実際に行ったこと
- 周囲とどう関わったか
- 結果はどうなったか。数値があれば正しい数値だけ
- そこから何を学んだか、次にどう変えたか
ガクチカの材料が見つからない場合は、文章生成へ進む前にガクチカが思いつかないときの素材探索から始めます。
ステップ3:必要なら企業情報を別枠で渡す
志望動機や企業固有設問では、企業研究の事実と自分の感想を分けます。公式採用ページや企業サイトなどで確認した事実にはURLや確認日も残すと、AIが別企業の特徴を混ぜた場合に見つけやすくなります。
「この企業は若手が活躍する会社だ」のような感想だけを渡すのではなく、「採用ページのどの記述を見て、なぜ自分に重要だと思ったか」を分けておきます。詳しくは企業研究を志望動機につなげる方法で整理しています。
ステップ4:ドラフト条件を明示する
AIには「何を書くか」だけでなく「何をしないか」も伝えます。たとえば、次のような条件です。
- 提供した事実以外の経験・実績・数値を追加しない
- 設問へ最初の1〜2文で答える
- 指定文字数を超えない
- 抽象語だけで終わらず、Actionを具体的に残す
- 企業情報は提供した事実だけを使う
- 不明な点は補完せず「不足」と示す
そのまま使える「事実を増やさない」指示テンプレート
下の枠を自分の事実で埋めて使います。
「以下の設問に対するESの下書きを作ってください。
設問:[設問を原文のまま]
文字数上限:[○字]
私の経験:[役割/課題/行動/結果/学びを箇条書き]
企業について確認済みの事実:[必要な場合のみ。出典URLも残す]
条件:
・私が提供していない経験、数字、役職、成果、企業情報を追加しない
・不足情報は推測せず『不足』と示す
・最初に設問への答えが分かる構成にする
・私自身のActionが分かるようにする
・上限文字数内に収める
・最後に、下書きで事実確認が必要な文を箇条書きで示す」
このテンプレートでも誤りがなくなるわけではありません。生成された本文と「事実確認が必要な文」の両方を、元メモと照合します。
同じ経験を複数企業で使うときは「素材」を再利用する
同じ経験を複数のESで使うこと自体はできますが、完成文をコピーして企業名だけ変えるのではなく、経験の事実メモを再利用します。応募先の設問や職種によって、同じ経験でも見せる焦点は変わります。
| 再利用する | 企業・設問ごとに変える |
|---|---|
| 役割、課題、Action、結果、学びなどの事実 | どの事実を中心にするか |
| 実測した数字・期間 | 設問への結論 |
| 自分が説明できる経験の詳細 | 企業固有の根拠・志望理由 |
この時点の出力は完成品ではありません。文章として読みやすくするためにAIが因果関係を強めたり、本人が言っていない目的を補ったりしていないかを次で確認します。
ステップ5:一文ずつ「根拠はどこ?」を確認する
ドラフトの各文を、元の事実メモと照合します。特にチェックしたいのは、数字、役職、期間、人数、成果の原因、企業固有の情報です。
| AI出力 | 確認 |
|---|---|
| 売上を20%改善した | 実測した数字か。比較期間は同じか。 |
| リーダーとして10人をまとめた | 実際の役割名・人数か。 |
| 私の施策により参加者が増えた | 他の施策や季節要因を無視して因果を断定していないか。 |
| 御社は若手に裁量がある | 現在の公式情報で確認できるか。 |
根拠がない文は削除するか、自分が実際に説明できる範囲へ弱めます。
ステップ6:自分の言葉へ直し、声に出して説明する
最後に、普段使わない言葉や過度に整った言い回しを直します。重要なのは「AIっぽく見えない文体」にすることではなく、面接で同じ内容を質問されたときに、背景・判断・迷い・具体的な行動を自分で説明できることです。
- 設問へ答えている
- 経験・数字・役割はすべて事実
- 企業固有の記述を一次情報で確認した
- 自分のActionが見える
- 指定文字数内
- 別企業名へ置き換えても通用する文章になっていない
- 面接で「なぜ?」を聞かれても説明できる
EScortでこの流れを行う場合
確認済みのEScort実装
EScortのES生成処理は、プロフィール、設問、トーン、文字数、任意の企業情報、任意のエピソードを材料として受け取る構成です。つまり、先に経験や企業情報を整理してからドラフトへ渡す使い方ができます。
ただし、入力した企業情報や経験が真実かをEScortが自動保証する機能としては説明しません。生成後の事実確認は必要です。
参考にした公開情報
外部サービスの仕様・表現は2026年8月23日の確認時点であり、EScortの機能根拠には使用していません。